あれから我々は、
紅茶専門店の多い中、
珈琲豆を扱う業者を
虱潰しに探していった。

すっかり日が沈み、
あちらこちらのパブが
賑わう頃、夜間に人の
出入りが多いと言う
一軒のハイチ産珈琲豆を
扱う業者の倉庫の前に
辿り着いた。

そこに一台のトラックが
横づけされた‥。

数人の男達が荷台の扉を
開けると、中から珈琲豆の
麻袋を引き摺り出す‥

ところが、その中の幾つかの
袋の中身がゴソゴソと
もがく様に動いているのを
発見した。

更に様子を窺っていると

黒塗りの高級車がやって来て、
中から身なりの整った
品の良い紳士が降りて来た。


また一台‥そしてまた一台‥。


ここで一体何が行われて
いるのだろうか‥?

私とターニャは、
繰り返される運搬作業と
紳士達の動向を物影から
じっと息を殺して
見詰めていた。