どうやら滞在が長引きそうだ。
ターニャと私はホテルを出て
近くの安アパートを借りる
事にした。
ストリートに面した建物の三階
ガランとして殺風景な部屋に
二人掛けの食卓テーブルと、
彼女の食材用の小型冷蔵庫が
ひとつ、私の食材用の冷蔵庫が
一つずつ‥
勿論、寝室は別々の部屋だ。
ターニャの生活パターンは
世間一般と何ら変わらない。
夜眠り、朝には目覚める。
しかし、サラ達の潜伏先を
突き止めるまでは極めて
ヴァンパイアらしいサイクルで
活動していた。
当然、私も昼夜逆転の生活と
なった。
この程度の張り込み捜索には
慣れているつもりだ。
なぁに、南半球の地球の裏側
に来たとでも思えば平気さ。
我々がロンドンに滞在してから
二ヶ月目、遂にターニャが
サラの姿を確認した。
彼等の棲み家が判ったのだ。
次には私もその姿を確認する
ことが出来た。