翌日、

私は少しの仮眠をとり、
ターニャと空港で待ち合わせ
をしていた。

ロンドン行きの航空機に
搭乗する為だ。


ターニャは肌寒い気候に
合わせて真っ赤なショート
トレンチコートに黒の
パンツスタイル、サングラス
を掛けて円柱の太い柱に
もたれ、佇んでいた。

彼女の洗練された体型が
然り気無く立っているだけで

まるでモデルの様に
その場の景色を絵画に変える。

陽射しの下で見る彼女は
一段と美しい。

待っている間、彼女は
持参して来た地図で
血液バンクの場所を確認
していた。

血液パックを機内に
持ち込もうとすれば
忽ち別室に案内され、
アレやコレや訊かれ、
余計な時間を取らされるに
違いない。

食事は現地調達。

彼女にしてみれば旨い
フィッシュ&チップスの
店を探している様なものだ。

『旨い店は見付かったかい?』

私がジョークで尋ねると、

『何処も同じ様な品揃えよ。
時々ヴィンテージ・ワインにも
似た一級品に出逢う事もある
けれど‥』

彼女はカラカラと笑う。

どうやら血液型によっても
微妙に味が違うらしい。