旦那様は社長


※※※


「光姫ちゃん、今日何かあった?」

「……え?」


恵比寿の某ホテルにある有名レストラン。


VIP会員のみが予約でき、利用者はセレブばかりというハイクラスのレストランなのだそう。


その存在は知っていたけれど、もちろん一般人のあたしが足を踏み入れたのは今日が初めて。


「何か心ここにあらず……って感じだよ?」


遠山さんが首を傾げてあたしを見た。


だって今、確かにここにあたしの心はない。


前々から、一度は行ってみたいと憧れていたレストラン。


せっかくの食事も、味なんてほとんど覚えていなかった。