旦那様は社長


「けど……」

「何ッ」


もうこうなればヤケだ。


「してやってもいい」

「何をッ‼」


社長の長い指があたしの頬を撫でる。


「お前が今期待してること」


あたしの顎を右手で少し持ち上げながら、甘い声でそう言った。


「だ、誰がキスなんか‼」

「へぇ?そんなこと考えてたのか」

「あ……」


墓穴ッ‼


「ははッ!お前マジ面白すぎ」


もはや反論の余地はなかった。

あたしの完敗。


「可愛いヤツ」


少し涙目になりながら優しく笑った社長は、やっとあたしにキスをした。


悔しい。

どうせするなら、もっと早くしてよ‼


ムカつくのは一回で十分だ。