「そう。お前の派手な男付き合いをオレが知らないとでも?」


ふふんと得意げに笑った社長は、あたしの髪の毛に手を伸ばしてサラッと指を通した。


こんなキザな真似をする男は大嫌いだけど、社長がすると嫌味がなくて様になって、なんだか少しドキドキした。


「社内の色んな男と関係持ってるだろ」


「え……」


「オレを誰だと思ってる。社長だぞ?専属秘書になるものの身辺調査をするのは当然のことだ」


「……」


「今までどうして周りに露見しなかったんだと思う?」


あたしは今まで、自分が“うまくやっていた”んだと思っていた。


たくさんの男との約束も、ブッキングしないように常に管理していたし。


バッタリ街で鉢合わせなんかしないように、相手の出没エリアまで事前にチェックしておいて、デートの場所には特に気を遣った。


だから今まで修羅場になったことは一度もない。


あたしは“男をうまく騙せてる”わけじゃないの?


「オレの力で噂をもみ消してきたからだよ。君はプライベートにさえ目を瞑れば、優秀な秘書だからね」


「社長が……?」