「でもキレイだ。今日のお前」
「え?」
「キレイだ……」
優しく笑って、少し照れた表情を見せる社長。
あたしも負けじと笑顔を返した。
「社長もかっこいいよ?惚れ直しちゃった」
「オレたち、バカップルみたいだな」
「そうかも」
おでこをくっつけてクスクス笑い合う。
そしてそのまま抱きしめ合ってキス。
こうして一緒にいれば、一気に疲れなんて吹き飛んでしまう。
暫く2人の時間を堪能し名残惜しくも唇を離した。
「続きは夜か」
「うん」
「“新婚初夜”って、なんかやらしーな」
「初夜じゃないけどね」
「女はいつだって初めてじゃなかったのか」
「バカッ!!」
甘い空気が2人を包み込む。
だけど数分後。
この甘い空気が一掃されることになることを、あたしたちは知らない。