旦那様は社長


《何かあったのか?》

「社長に……会いたい……」


頭の中がもうグチャグチャで、早く社長の口から本当のことを聞きたい。


「早く帰ってきて……」

《オレがいないのがそんなに寂しいか?》


社長が電話の向こうで嬉しそうに笑っているのが想像つく。


だけど今日は、笑って過ごせない。


「今日ね、橘友里さんと会ったの」

《え!?友里と!?》


『友里』と社長が呼んだだけで、ズキンと胸が痛んだ。


あたし、そうとう重症かもしれない。


「友里さんが……突然会社にあたしを訪ねてきたの。彼女、……あたしたちのこと知ってた」


《あぁ。お前に見られたあの日にな……。友里は……お前に何か話したのか?》


探るように聞いてくる社長に、ストレートにぶつけた。


「大河くんって言うんだね。あの男の子」


社長の動揺からか、電話の向こうでガタッと物音が聞こえた。


《光姫、それは……》


そう言ったっきり、社長は黙り込んでしまう。