旦那様は社長


※※※


その日の夜、いつもより長めにお風呂に浸かって、彼女のことが頭をよぎる度に冷たいシャワーを頭からかぶって忘れようとした。


だけど今日は、何をやっても誤魔化せない。

社長の声が聞きたい……。

そう思った。


あの日、あの男の子を見た時からなんとなく予感はしていたけれど、やっぱり信じたくない。


「社長……、彼女の話が本当なの?」


ベッドの上にうつ伏せに倒れ込んだ瞬間、フワッと社長の香りに全身を包まれる。


いつもは安心できるこの香りが、今日はあたしの涙を誘う。


「……ッ…ック……」


会いたい。

今すぐ会いたい。

今すぐ抱きしめてほしい。


「社長……」


ーープルルルル♪


その時、タイミングよく部屋の電話が鳴った。


もしかして、社長?


そんな期待を持って慌てて電話を取り、通話ボタンを押した。


《もしもし?》


社長だ……。

声を聞いた瞬間、一気に涙が溢れ出した。


《泣いているのか?》

「……うん」

《やっぱり……。お前に泣きそうな声で呼ばれた気がして……》


どうしていつもこの人は、あたしの心をすぐに分かってくれるんだろう。