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その日の夜、いつもより長めにお風呂に浸かって、彼女のことが頭をよぎる度に冷たいシャワーを頭からかぶって忘れようとした。
だけど今日は、何をやっても誤魔化せない。
社長の声が聞きたい……。
そう思った。
あの日、あの男の子を見た時からなんとなく予感はしていたけれど、やっぱり信じたくない。
「社長……、彼女の話が本当なの?」
ベッドの上にうつ伏せに倒れ込んだ瞬間、フワッと社長の香りに全身を包まれる。
いつもは安心できるこの香りが、今日はあたしの涙を誘う。
「……ッ…ック……」
会いたい。
今すぐ会いたい。
今すぐ抱きしめてほしい。
「社長……」
ーープルルルル♪
その時、タイミングよく部屋の電話が鳴った。
もしかして、社長?
そんな期待を持って慌てて電話を取り、通話ボタンを押した。
《もしもし?》
社長だ……。
声を聞いた瞬間、一気に涙が溢れ出した。
《泣いているのか?》
「……うん」
《やっぱり……。お前に泣きそうな声で呼ばれた気がして……》
どうしていつもこの人は、あたしの心をすぐに分かってくれるんだろう。

