旦那様は社長


ジッとあたしを見据える目に、あたしの方が気まずくなって目を逸らしたくなった。


「あの……」

「悠河に聞いたの。あなたたちの馴れ初めは」

「そうですか」

「あたしと悠河の関係は、彼から聞いてる?」

「……いいえ」


社長はあたしに、時期がきたら全て話すと言っていたから、今のあたしにできることは、それを信じて待つだけ。


「そう」

彼女はフーッとため息をついて言った。


「あなた、きっと悠河に騙されてるのね」

「え?」

「悠河は昔から女グセが悪くて、あたしもたくさん泣いてきた。社長になって少しはマシになったかと思ったのに。相変わらずみたいね」


その捨て台詞は、あたしの心の奥に潜む疑惑の芽を、みるみる大きくしていった。