旦那様は社長


「あの……、マンションまで……戻ってもらえますか?」

「あ……はい……」


運転手さんもどこか気まずそうにしながら、ゆっくり車を発車させた。


だけどあたしは今、そんなこと気にしていられるほど、自分に余裕がなかった。


さっきの光景が頭の中をグルグルと回っていて、何が何だか状況がさっぱり掴めない。


やっぱり彼女は、社長の今の恋人なのかな。


あの男の子はきっと、彼女の子供。


子持ちの女性と知りながら、社長は付き合っているの?


それともあの子は……まさか……。


最後に思い浮かんだ最悪のシナリオは、頭を振って掻き消した。