旦那様は社長


マンションを出るまでは実はかなり緊張していた。


だって人を尾行したことなんて一度もないし、何だか社長に対して、罪悪感みたいなものまで感じるようになった。


尾行されるなんて、容疑者じゃないんだし、誰だってイヤなはずだから。


だけどけっきょく好奇心の方が勝って、実行に移してしまったんだ。


「お客さん、前の車……駅で誰か待ってるみたいですよ」

「え?」

「ほら、あそこに。さっきからずっと停まったままなんです」


運転手さんが指差す方向を見ると、確かに車が停まったままだ。