旦那様は社長


茶化して答える場面じゃないと悟った。


「なんで?」

「お前、オレに触られるの嫌がるし」

「それは……」

「それは?」


社長が一度も目を逸らすことなく、あたしの答えをジッと待っている。


あたしの方が逸らしたくなってしまう。


「だって、いつも突然だから」


そういうムードになったとかじゃなく、とにかく予測もできないうちに突然触れてくるから。


嫌がるというより、正しくは、驚きすぎてどうすればいいのか分からないんだ。


「突然じゃなければ受け入れるのか?」


「……さぁ。どうだろ」


けっきょく肝心なところは誤魔化してしまった。


だってあたし自身が、今自分の気持ちをまったく分かっていない。


だけど今のあたしは社長のこと、受け入れてしまっているんじゃないか……とは思い始めている。


「イヤだ」と口にしながら、最近は本当にそう思っているのか、分からなくなる時があるから。