旦那様は社長


いい予感はしなかった。

やっぱり、今日のあたしは何もかもが裏目に出る。


社長に見つけられてしまった。

隠したかったものを。


「いや!!」


気付いたと同時にそれを隠すも、もう既に手遅れ。


「へぇ……。夫に見られたくせに、堂々とこんなものつけるのか」


遠山さんにつけられた真っ赤なキスマークが、社長の視界に入ってしまったんだ。


だけどそれを見た社長の顔が、一瞬曇ったような気がした。


「なるほどね。あの後随分と激しい運動をしたらしいな」

「あ、あたしそんなことしてないッ!!」

「そんなこと?」


ますます窮地に立たされる。

確かに、社長が想像するようなことはしていない。


ただ『何もなかった』と言ったら、それはウソになる。