旦那様は社長


リビングのドアを開けると、ソファーに座って雑誌を読んでいる社長の姿が目に入った。


「早かったな」


それはあたしへの嫌味だろうか。


「そっちこそ。いつもは遅いくせに、今日は随分と早いのね」


ジャケットを脱ぎながら自分の部屋へ逃げ込もうとすると、

「おい」

と呼び止められた。


「……何」


足は止めても、今日は後ろめたさで正面きって社長の顔が見れない。


「こっち向け」

「やだ」

「……まさか、あの遠山とも関係していたとはな」

「だったら?」

「遠山のことはけっこう買っていたんだが、お前に簡単にひっかかるなんて、たいしたことないんだな」


クックッと、あたしを見下したような笑い声と発言に、あたしは切れた。