旦那様は社長


結局、最後まで気まずい空気を引きずったまま最寄り駅に着いた。


別れ際に「ありがとう」って言ったのに、遠山さんは無言で、一度もこっちを見ることなく車を発車させた。


きっともう、二度と遠山さんに声をかけられることはないだろう。


「ごめん、彩。合コンはナシだ……」


自己嫌悪に陥ったまま、そこからタクシーを拾ってマンションに帰った。


時間は22時。

社長もきっとまだ帰宅してはいない。


あの女の人と一緒にどこかで……。


さっきまで遠山さんを傷つけたことで沈んでいた心が、今は社長のことで一杯になっているあたし。


玄関の鍵を開け、そのままリビングへと向かった。


「え……、電気が点いてる」