旦那様は社長


あたしが1人戸惑っていると、

「美夜子!!」

会長は更に腕の力を強めた。


「み、美夜子?」


確かに今あたしを“みやこ”と呼んだ。


もしかして、誰かと勘違いしているのだろうか。


“美夜子”と何度も呼び続けながら抱きしめる会長を、あたしは突き放すことができなかった。


決して『クビ』が頭をよぎったわけではなく。


今の会長が、小さな子供のように思えて。


気付いた時には、会長の背中を撫でていた。