旦那様は社長


「じゃあ、今日はオレが一晩中慰めてあげようか?」


遠山さんが急に笑顔になった。


食事はただの口実。

ここのセレブ級の食事代を払ってくれる代わりに、あたしは本当のデザートを。


世の中そんなに甘くない。

ギブ&テイクだから。

あたしもそれを分かって誘いにのっている。


だけど今日は、どうも気分がのらない。


「今日は止めとく。なんだか疲れちゃったし。……ごめんね」


一瞬社長の顔が思い浮かんだけれど、あたしは頭を振ってそれを掻き消した。


「そっか、残念。じゃあまた今度ね」


あからさまにガッカリした顔をする遠山さん。


あたしどうしたんだろう?


こんなの、あたしらしくない。


今までみたいに楽しめないなんて。


なんで……社長の顔が浮かぶの……?