旦那様は社長


「一ノ宮の娘と結婚すれば、この会社も安泰だ」


……なるほど、そういうことか。


聞き耳を立てたまま、会長の前に静かにお茶を置いた。


その瞬間急にグイッと腕を引っ張られ、一瞬体が宙を舞った。


「きゃッ!!」


倒れた場所は……


「か、かッ、会長ーーッ!?」


よりにもよって、

最も相手の悪い人を下敷きに。


その傍らでは、社長が顔面蒼白で立ち竦んでいた。



『クビ』


この2文字があたしの脳裏を掠めた。