「今からお前をさらいに行く。用意しておけ」
来られても困るなら、そこでちゃんと断るのが礼儀というものだ。
「来てもわたし、留守だよ」
この一言だけでいい。
時々やって来てピンポンダッシュされる場合もあるが、聖域の中まで入って来られることはないので安心だ。
ノリコのように、そんな言葉をかけられてノーリアクションでいると、オトコノコはノコノコやって来て聖域に侵入してしまう。
無防備な聖域の中を探索される。
姿を見られてしまう。
だけど美しい彫刻のように動かないノリコを見て、オトコノコたちは肩を落として帰って行く。
「どうだった!?」
城の外の仲間に、そのオトコノコは言う。
「綺麗すぎて持ち出せない」
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