ヤツの襟を掴んで、強引にこちらに引っ張る。

顔を近づけ、女3人に聞こえないよう、できるだけ小声で耳打ちした。


「女いるって、聞いてへんねんけど。普通の飲みって言ってなかった? なんで合コンみたいになってんねん」

「えー。だって、さっき声かけたとこだもん。人数的にも3・3でバッチリだし」

ってそんなことドヤ顔で言われましても。


「まぁまぁ、いいじゃん。人数多い方が飲んでて楽しいし。ほら、イッペーもなんか飲めよ」

そう言って、マサの隣からメニュー表を差し出してきたのは、新見達也(ニイミ・タツヤ)。

マサと新美とオレは高校の同級生で、部活仲間でもあった。

当然同い年だけど、こいつらはまだ学生だ。