桜、ふわふわ 2nd season

オレの腕にべったりと体を寄せているリカちゃん。

向かう先は彼女の部屋だ。

これから起こりうることを、頭の中でシミュレートさせてみる。

ひと昔前に流行ったTVCMみたいに、選択肢の書かれたカードを手にしている気分。

どうする?
オレ、どうすんの?
さぁ、どのカードを切ろうか。

……なんてね。

考えても答えはひとつに決まってる。


「すみません。次の交差点で止めてもらえますか?」


運転手に声をかけた。


「え?」と、あからさまに落胆しているリカちゃんの腕をほどく。


「やっぱ帰るわ。明日仕事やし」

「そんな……。あたしんちから出勤したら?」

「いやいや。そういうわけにもいかんやろ」

「……どうしても……ダメ?」


オレのジャケットを引っ張って、ねだるように言うリカちゃん。

この子はいつもこんな風に男をおとしてるんだろうなって思う。


「うん。ほんまあかんねん。だって……」


オレはジャケットからも彼女の手を外しながら言う。



「レッサーパンダの愛子が泣くから」