桜、ふわふわ 2nd season


「タクろか?」


店を出て、横にいるリカちゃんにたずねた。


指定された店は、わりと不便なところにある。

徒歩だとかなり時間がかかりそうだ。

かといって電車を使うとかえって遠回りになる。


オレはタクシーを止めて、リカちゃんとふたりして乗り込んだ。


「えーと……」


運転手に行き先を告げようとしたそのとき、リカちゃんが身を乗り出す。


「榊町の方に行ってもらえます?」


店とは違う方向の地名を彼女は告げた。


「え?」


驚くオレ。


リカちゃんはオレの腕に自分の腕を絡ませてくる。


「うちで飲みなおそうよ。ふたりで」


そういって、オレの肩に頭を乗せる。


彼女の髪から甘い香りがする。

てか、おっぱい!

思いっきり腕にあたってるんですけど。


ミラー越しに、一瞬運転手と目が合うと、意味深な顔で微笑まれてしまった。

おっさん、ニヤニヤすんな。


ともかく、オレらを乗せたタクシーは走りだした。