─暴走族のお姫さま─




その音楽の正体は
柚希の着信だった。



「出ていいよ」



と言うと柚希は
申し訳なさそうに



「ごめんねっ」



と言って電話に出た。



「もしもし?」



「うん、仕事終わったの?」


「わかった」



「うん、家に行くね」



「じゃあね」



柚希の会話を
聞いている限り
相手はてっちゃんだと
すぐにわかった。



電話を切ると柚希は
手を合わせて



「ごめん!!
用事出来ちゃったから
帰ってもいいかな?」



と言った。
あたしはすぐに
微笑んで



「うん、全然いいよ!
楽しんできて。
クレープごちそうさま」



と言うと柚希は
手を振りながら
行ってしまった。