やっぱり奈菜だ。



奈菜の匂いがする。



フローラルの
優しい香り。



思い出してほしい。



ずっと前から
想っていたことを
わかってほしい。



「あの時…」



俺は話そうと決めた。



奈菜の記憶に
残っていてほしかったから。



「え?」



困惑する奈菜な
俺は続けた。



「一年前に奈菜
暴走族助けなかった?」



ちょっとの沈黙の
次に奈菜はハッとしたように



「はい、あります」



と言った。



もうそれだけで
十分だったけど
ここまで来たら
全部、全部思い出してほしい。