「あっ…そうですか…」



「はい、奈菜が小さい頃に
死んでしまって
まだ幼かった奈菜には
両親の記憶がないんです」



「家の方は…?」



「俺と弟と奈菜の3人で
暮らしてます」



「…そうなんですか。
はっきり言って高梁さんを
男だけの家に帰すのは
遠慮した方がいいかと…」



「奈菜は…
奈菜は大丈夫なんですか?」



「医師の私から見ると
高梁さんはかなりの
ショックとダメージを
受けています」



医師の言葉が
俺を不安にしていく──…