壱真についていって
俺は診断室の椅子に座った。



「ご家族で
いらっしゃいますか?」



医師の質問に
壱真は頷いた。



「あの…
お母さまとお父様は──…」



「死にました」



即答する壱真に
医師は気まずい顔を見せた。



知らなかった。



奈菜の両親が
死んでいたなんて。