─暴走族のお姫さま─




「じゃあ行くで」



そう言って
男の人は車を発進させた。



「あ、あの…」



あたしが遠慮がちに言うと
男の人はあたしの頭に
手を置くとポンポンと
優しく叩いた。



「ゆっくりしとき」



「…はい」



何でだろう…



この人の笑顔は
あたしを安心させてくれる。



車の中は
タバコの匂いと
甘い香水の匂いが
漂っていた。



軽快なリズムの音が
耳に届いてくる。



「疲れたやろ?」



そう男の人に言われて
あたしは小さく頷くと
眠りに落ちていった──…