─暴走族のお姫さま─




男の人たちは
あたしの腕を掴んで
引き寄せようとした。



やだ…



怖い…



あたしは唇を
噛みしめた。



その時。



フワッとあたしの
頭に軽い重みがのり
お腹には知らない
人の腕が回されていて
後ろから抱き締め
られているんだと
すぐにわかった。



後ろから抱き締めている
人はあたしの頭の上に
自分の頭を乗せている
ようだった。



何だろう。



甘い香りがする。



そんなことを
思っていると
頭上から



「あのさお前ら
この女の子が
誰の女がわかってんの?」



とすごく低い声で
男の人たちに言った。