［休憩時間］　―ＡＭ:０９:４０―　



「なんかアイツ暗い奴だな？」


教室を出ていく教師の後ろ姿を目で追いながら、吐き捨てるように隆志が言う。


「俺、今日は日直だったから朝一で職員室に教室の鍵を取りに行ったんだけど、その時に教頭とアイツの話を聞いたんだ。その話しによると今日は６時間目までアイツがうちのクラスの授業を全部担当するんだってさ！」　　　　　　　　　　


クラスで一番の情報通の雅樹が暗い口調で言った。


「マジかよ！なんでアイツが？他の先生達はどうしたのさ？」


驚いた表情で隆志は、雅樹に問いかける。


「教頭とアイツが話していたんだけど、まぁ話しをしていたといっても教頭が一方的にアイツを怒鳴り付けるように話していたんだけどね！」


「あの教頭は、いつも誰かに怒鳴っているな」


隆志は、教頭の特徴であるオデコを強調するように自分の前髪を両手でかきあげながら、あきれたように言った。


そんな隆志を見て、笑いが込み上げてくるのをこらえながら雅樹は話を続ける。


「アイツは何も喋らず教頭の話を、ただ黙って聞いているだけだったのだけどね？」



「アイツの事なんていいから教頭が話していた内容を言えよ！」

真相を早く知りたい稔が、うながすように雅樹に言った。



「教頭の話しによると、俺らの担任の佐伯先生や学年主任の服部とか、このクラスの各教科を受け持っている先生達が今朝から無断欠席していて連絡が取れないんらしいんだ？」　　　　　　　　　　　　　　　


雅樹の意外な言葉に隆志と稔は驚いた。