食べ終わって、席を立つ。


レジの前を素通りする敦くん。


「あ、敦くん、お会計は?」


少し後ろを歩いていた私は敦くんのスーツの裾を少しつまんだ。


「んー、もう払ったよ。」


「え?!」


外に出て歩くのを止めない敦くん。


「いくら?半分出すよ!」


少し歩くスピードを上げて横まで行くと


「オレが誘ったの。だからオレが出すの。」


「でもっ」


「いーって。てかデートなのにワリカンとか出来ないし。」


足を止めて、にっこり笑った敦くんは


「来てくれただけで十分。またデートしてくれる?」


ダメだよ。その笑顔は反則だって。


私、その顔に弱いんだ。


「ん・・・・でもっ・・・次は私が出すよ!」


真っ赤になりながらそう言うと。



「ダメー。オレが出すの。」


「ダメだって!そんなのっ」


「んー、じゃさ・・・・」


前を向いて、鼻の頭をポリポリした敦くんは・・・


腰をかがめて私と目線を合わせる。


「敦・・・くん・・・?」





ちゅっ



「これでいいよ。メシ代。」


そう言って、歩き出した。




え・・・・








キスされたのはほっぺ。







私はキスされた頬に手を当てて、動けなくなってしまった。








反則多すぎです。