「ん~っ気持ちい!森林浴じゃん!」
駐車場までの道を歩きながら敦くんは大きく伸びをする。
大きな杉の木。
砂利の道。
木の柵。
太陽の光がキラキラしてる。
陶芸するときは必ず来るところだけど、今日の景色はいつもと違う。
時計を見るともう13時を過ぎていた。
どうしよう。今からどうするんだろう?
帰るだけなのかな?
明日から仕事だよね。
でももう少し一緒に居たいな・・・・
「腹減ったね。なんか食いに行こうか。」
振り返った敦くんからの言葉。
あまりにも自然すぎてびっくりした。
「早紀ちゃん?あ、なんか用事あった?」
ゆっくり来た道を戻ってくる敦くん。
「あっ・・ううんっ大丈夫。」
「ほんとに?」
私の前に来て心配そうな顔をする。
「うん。大丈夫。何食べようか?」
私がそう言うと、敦くんはホッとしたような顔をして
「よかったー。俺このまま振られんのかと思ったよ。」
そう言って私の手を握った。
ギュッと握られた手。
そのまま私の手を引いて歩き出す敦くん。
「今日の早紀ちゃんは俺の貸切ね。せっかくのデートだもん。」
そう言って敦くんは悪戯に笑った。