「先生イケメンだよ!看護師さんが言ってたもん。」
「は?看護師さんが?」
……何子供に言ってんだ?看護師は。
俺は苦笑いしながら話題を変える。
よく考えたら透だって、普通なら小学校で元気に走り回る歳だもんな。
部屋で1日中ベッドにおとなしく寝てるなんて出来ないよな。
俺はそんな事を思いながらボールを透が取りやすい場所に投げる。
部屋でもいつもテレビでプロ野球観戦をしているもんな。
見れば自分もしたくなるのは自然な事か。
だけど俺は、透より17年も年寄り。
それにボールを投げる動作なんて仕事では無いし……長い時間キャッチボールをしていれば、さすがに腕が疲れてくる。
まだまだ平気な顔して投げてる透が羨ましい。若い。
腕が限界……そろそろ止めようと透に言うか。と思った時。
「川島先生ー!」
誰かに呼ばれてその方向に顔を向けた。
向けた方向の先には1人の看護師。
……多分、午後の診察がもう少しで始まるから呼びに来たんだろう。
もうそんな時間か。
遊んでいたらあっという間に時間が経つな。



