…まだ疑問に思った事がある。
俺は手を伸ばして美緒の手を握った。
「触れる…」
普通幽霊って言ったら透き通ったりするよな?
だけど、今日助けて貰った時も美緒はおもいっきり俺の腕を引っ張ったし、ロッカー室の前にしゃがんでいた時も俺は美緒の肩に触った。
『…人や物には触れるみたいなの』
そう言うと握った俺の手をギュッと握り返す。
…でも冷たい。
「他には?何か変わった事は?」
『んー…っと、痛み、味が感じない』
俺は控えめに握っていた手に力を入れてみた。
…普通の子なら痛がる強さにしても美緒は全く普通。
痛そうな顔もしないし、我慢しているような感じでもない。
…痛みも感じないのか。
まぁ、死んでまで苦しみを味わう必要なんて無いもんな。
『あ、でもちゃんと感触はあるんだよ!今、触られてるとか…」
俺に説明しながらも、美緒は寂しそうな顔をする。
さっきまでとは全然違い、
捨て猫のように寂しい瞳で
俺を見つめる。



