ソファーから降りて俺の前に向き合うように座る。 まず…いろいろ聞かないとな。 「名前は?」 『…みお』 「みお?」 『美しいって言う字に、一緒の緒』 そう言って空中に文字を書く。 美…緒か。 可愛い名前じゃん。 「苗字は?」 続けて聞くと、美緒は一瞬考えたような顔をした後に、 『…分からない』 と言った。 「何で?名前は分かるのに?」 『名前はなんとなく覚えてるけど…苗字は全然覚えてない』 覚えてない…か。