「いつ消えるとか分かるのか?」





静かな室内に響く翔の声。






『分かんないけど…真山先生はもうすぐじゃないかって言ってたよ』






「…何かやりたい事あるか?」






『へ?』







「ほら、一度やりたかった事とか…食べたい物、行きたい場所とか…」







翔はあたしに心残りが無く行かせようとしてくれるんだね。






ありがとう。






でも、十分。







『翔からネックレス貰っただけで十分だよ?
あー…でも、一個だけお願いがあるかなー?』







「何?」







優しく聞いてくれる翔。







『あのね、あたしが消える時、抱き締めて欲しいんだ』







出来るなら。






翔の腕の中で消えたい。








そう思うから。