「翔〜先生っ!とりっく おあ とりーと」
ベッドの上で両手を俺の方に向け、ニコニコの透。
「はい、どーぞ」
今日はハロウィンって事で診た後にお菓子を渡す事になっている。
どこもかしこもハロウィンムードで、カボチャの絵やら置物が置いてある。
「もうすぐ退院?」
「だな」
聴診器を当て、肺の様子を診た後、透は嬉しそうに聞く。
「やった!」
「入院してる間は大人しくしとけよ?ほら、これ」
そう言って俺は野球ボールを渡した。
「いいの!?これ」
「前のは使いすぎてボロボロだっただろ?」
新品のボールを見ながらキラキラ目を輝かせて喜ぶ透。
可愛いな。
透とまたキャッチボールをする約束をして俺はナースステーションにある自分のデスクへと向かった。



