「ちっくしょう……、結局あの古枯(こがらし)とか言う奴、Code.0005(ザ・ファイヴ)について何にもしゃべりやしなかった……」

 不快を露(あら)わにした表情で麟紅は路地裏の一角を歩いていた。日はもうどっぷりと暮れ、ビルの窓から人工的な明かりがこぼれていた。
 あの後、古枯は無言で麟紅を玄関まで導き外に追い出す形で道を教えてくれた。ありがたいが、もう少し情報が欲しかったのが本音。結局何も聞けないままここまで来てしまった。

「これじゃあもう人探しなんか無理なんじゃねぇか?」