「知ってるよ……。Code.0005(ザ・ファイヴ)、体表に接したあらゆる力の方向(ベクトル)を変換する超能力『方向転換(ディレクション)』の能力者」

「でぃ、方向転換(ディレクション)……? って、お前何モンだ!? まさかテメェがCode.0002(オー・ツー)って奴か!?」

 麟紅が慌てて距離を取ると、しかし少年は少し笑うだけで何もしてこない。代わりに紅答える。

「違うよ。僕はCode.0009(ナインズマン)の古枯(こがらし)燕慈(えんじ)。『アブソーバー』の超能力者で、」

 そこで古枯は言葉を切り、

「彼の、Code.0005の幼馴染だよ……」

 寂しげな声が、静かな部屋に響いた。