「キャ」

 小さな悲鳴と共に、少女は派手に転んだ。
 前を走る少年が慌てて側に駆け寄る。

「何でこんなところでコケてんだよ……」

 抱き起こすと、右膝に怪我を負っているようだ。しかし、

「ん?」

 よく見るとそれは今しがた負ったわけではないようだ。なんと言うか、治りかけていた傷がまた開いてしまったような。

「お前……、元から怪我してたのかよ。それでよくここまで走れたな……」