吉原くんは顔を上げて私を見た。

その目はとても綺麗だった。


「決めた。吉田さんの計画に賛同するよ。母親についてはちょっと悩んだんだけど、このままにしておく方がきっと後が辛いからね」


「ありがとう」

よくぞ決心してくれた。

これで思い切って次の行動を起こせる。


「あ、それとさ。もう一個お願いがあるんだった」


「何?断わる選択肢なんてないと思うけどさ」

口を軽く尖らせるしぐさの吉原くん。


「吉原くんのこの件に関するコメントが欲しいんだ」


「新聞記者みたいだなね、吉田さんは」

茶化すように言いながらも「いいよ」と予想通りの返答。


「今日中にメールで送るけどそれでもいい?ちゃんと自分で文章を作って送りたいし」


「うん。全然良いよ。夜には更新予定だから遅れないようにね」


「締め切りにもうるさいのか。この記者は」

吉原くんは苦笑いする。