「無理やり取って」 「なんで?」 なんで?って……。 「あげなきゃならないのは、頭でわかってるけど、私の指が言うこと聞いてくれないの。 だから、無理やり、この手から奪って」 「……」 ちょっとだけ。 ほんのちょっとだけ。 期待した。 もしかしたら 『そこまでして、いらないし』 なんて言ってくれるかな……なんて。 でもそうなったら、千夏には申し訳ないし。 渡すのを頼まれた以上、渡さなきゃならない。 そして、その答えを出すのは他の誰でもない、凌なんだ。