もう駄目だと思い
僕は反射的にぎゅっと
目を瞑った

あぁ、これで僕の人生は
終わってしまうのだろうか

こんなよく知りもしない土地で
友達の悪ふざけのお陰で
この16年という
短い生涯に幕を閉じて
しまわなければならないのか

まだまだ
僕には
夏休みの課題やら
友達に借りているゲームを
クリアする事とか
大人の階段とか
恋とか愛とか惚れた腫れたの
甘酸っぱい青春とか……!!


僕には数え切れない程の
希望と言う名の野望が
あると言うのに……

ここで…
志半ばで殉職…じゃねぇや
志半ばで……死?
……や、ひねりがねぇなぁ

志半ばでぇ…
あ、舞台から降りなくては
ならないのかっ!!

コレでいいか

よし、これで僕の人生
それなりに悔いなし。

と、かっこよくも
心を決めたとき、不意に
井戸から声が聞こえた

「ちょっと、そこの貴方
此処が何処なのか

教えなさい」

それは凛とした
それはそれは可愛らしい
女の子の声だった