しかし、視線だけでは
飽き足らずに言葉できちんと
「いつまで私を待たせる気なの?!」
と自らの苛立ちを表現してくれた
お前は何処のお姫様だ

「あー…悪いな
コイツに簡単な今までの
出来事を(重要な所省いて)
説明してやってたんだよ」

「あら、私の輝かしい歴史の
一部分を語っていたのね
それならば仕方ないわ」

井戸から這いずり出てきた事の何処が輝かしいか
僕の理解はそこまで及ばなかった
「ねぇ、所で貴方たち
こんな時間までこんな所に
居ていいの?」

ミッシェが首を傾げて
聞いてきたので、僕は咄嗟に
腕時計を確認した

案の定短針は既に
12という数字をまたいでしまっていた
夏休みと言えども
さすがにこの時間はきつい

隣の友達も青ざめた顔で
時計の文字盤を眺めている

「お、俺、もう帰る!
悪ぃ…昴っ!!
また今度なっっ!!」

そう言ったかと思ったら
すぐさま背を翻し
帰路を全力疾走していった

かくいう僕も余裕なんてありはしない

数分後、彼の後き続くように
ミッシェを連れて僕も
ここを立ち去った

それが僕の高校生活初めての夏
夏休みが始まった直後の出来事だった