その手は力強くて、でも優しく掴んでいるのが分かる。 「え…いらない?」 「座れよ」 「あ…うん」 言われた通りに座ったのに手を離さない。 向き合って朱希に手を掴まれたまま、沈黙になる。 「……」 「……そんなに落ち込んでんの?」 「…ちげぇよ」 フラれて寂しいから家に来たのかと思ったのに…― ふいに朱希が真剣な目をしてあたしを見つめた。 「な…なに…?」 こんな顔して見られたら見慣れた朱希でも戸惑ってしまう… 「黙ってろ」 「え…」 そう静かに制してゆっくり自分の顔を近づけて来た。