「慶太君、このカバンちょっと持ってて」 差し出したカバンを戸惑いながら、受け取ったと同時に背中を向けている朱希の方へ走り出した。 「え…篠山さ…」 「そこで待ってて!」 …―泣かせるなって言ったのに愛子は大事な親友なんだから! 「くそ馬鹿アホ朱希ー…」 怒りを込めて、隙だらけの背中に飛び蹴りをくらわせる。 「だから……うわッ!」 「キャッ…」 そのまま、地面に顔から倒れ込んだ朱希と何が起きたか分からず目を丸くする愛子。