僕は、軋みながら回転する、車輪の動きをゆっくり止めた。
ここの防波堤は、海との距離が約十五メートルほどあり、フェリーから見ると、まるで城を守る城壁のように、高くそびえ立っていた。
確かに眺めはいいのだけれど、高所恐怖症の僕にとっては、高台に上がるまでの階段は、処刑台への階段のようにも思えた。
怖いのなら止めておけばいいのだろうけれど、意に反して足はさくさくと進んだ。多分怖いもの見たさだろう、と思いながら、我ながら悪趣味だ、と一人毒づいた。
僕は最後の階段に足を乗せた。
途端に、強い突風が吹いた。
思わず吹き飛ばされそうになり、死を覚悟したが、本能は腕を咄嗟に灯台に手を伸ばすよう指示し、しっかり掴むよう差し向けた。
灯台を掴んだことを確認すると、僕は力無くうなだれ、もう片方の手で灯台を抱くようにし、崩れ落ちた。
ここは高所恐怖症者の敵だ。二度と来るまいと、固く胸に誓った。
しかし、折角ここまで来たので、どうせなら景色を見ておこうと、僕は頭をあげようと試みたが、体はこれ以上の恐怖を感じるのを恐れているのか、頭をあげぬよう、頭だけをボーリング玉のように重くした。
どうにか重い頭をあげた僕は、恐る恐る辺りを見渡した。
そこでまず僕の目に入ったのは景色…ではなく、数メートル先に立つ、美しい女の子の姿だった。
ここの防波堤は、海との距離が約十五メートルほどあり、フェリーから見ると、まるで城を守る城壁のように、高くそびえ立っていた。
確かに眺めはいいのだけれど、高所恐怖症の僕にとっては、高台に上がるまでの階段は、処刑台への階段のようにも思えた。
怖いのなら止めておけばいいのだろうけれど、意に反して足はさくさくと進んだ。多分怖いもの見たさだろう、と思いながら、我ながら悪趣味だ、と一人毒づいた。
僕は最後の階段に足を乗せた。
途端に、強い突風が吹いた。
思わず吹き飛ばされそうになり、死を覚悟したが、本能は腕を咄嗟に灯台に手を伸ばすよう指示し、しっかり掴むよう差し向けた。
灯台を掴んだことを確認すると、僕は力無くうなだれ、もう片方の手で灯台を抱くようにし、崩れ落ちた。
ここは高所恐怖症者の敵だ。二度と来るまいと、固く胸に誓った。
しかし、折角ここまで来たので、どうせなら景色を見ておこうと、僕は頭をあげようと試みたが、体はこれ以上の恐怖を感じるのを恐れているのか、頭をあげぬよう、頭だけをボーリング玉のように重くした。
どうにか重い頭をあげた僕は、恐る恐る辺りを見渡した。
そこでまず僕の目に入ったのは景色…ではなく、数メートル先に立つ、美しい女の子の姿だった。

