何か脚に違和感を感じた。何かが僕の足を握り海の底へと引きずり込む、そんな違和感だった。
僕は気持ちを落ち着かせながら、恐る恐る脚の方へと目を落とした。
僕の脚には、見るからに頑丈そうな海藻が、がんじがらめに絡まっていた。
―――まずい―――!
僕は必死で水を切り、空気を求める。
恐怖のあまり、溜めていた息を全て吐き出してしまい、じたばたともがく。しかし、そんな僕を嘲笑うかのように、もがけばもがくほど海藻が脚を締め付けてゆく。
………もう、駄目…だ………。
意識がだんだんと遠くなっていく。
まさかこんな所で、こんな年で、こんな形で死ぬとは思ってもいなかった。
「死ぬ」というのは、こんなにも苦しいものなのか…。そう感じながら、僕は死を覚悟し、体を海に預ける。もはや、足掻く力も残ってはいなかった。
すると、力をなくしだらりとした僕に、彼女が何かを語りかけた。残念なことに、もう僕の耳は音を拾うという重要な仕事を放棄してしまっていたので、声は気泡となり、きらきらと輝いて消えた。
今思えば彼女は、僕を天国に運ぶ天使だったのかもしれない。僕は薄れてゆく意識の中で、ぼんやりとそう考えた。
………だが、彼女の妖しげな美しさは、悪魔に近いかもしれないとも思った。
僕は、地獄行きなのだろうか。痛いことをされるのだろうか………。そう思うと、段々と気分が憂鬱になってきた(死ぬ間際に、憂鬱も何もないだろうけれど)。
僕は気持ちを落ち着かせながら、恐る恐る脚の方へと目を落とした。
僕の脚には、見るからに頑丈そうな海藻が、がんじがらめに絡まっていた。
―――まずい―――!
僕は必死で水を切り、空気を求める。
恐怖のあまり、溜めていた息を全て吐き出してしまい、じたばたともがく。しかし、そんな僕を嘲笑うかのように、もがけばもがくほど海藻が脚を締め付けてゆく。
………もう、駄目…だ………。
意識がだんだんと遠くなっていく。
まさかこんな所で、こんな年で、こんな形で死ぬとは思ってもいなかった。
「死ぬ」というのは、こんなにも苦しいものなのか…。そう感じながら、僕は死を覚悟し、体を海に預ける。もはや、足掻く力も残ってはいなかった。
すると、力をなくしだらりとした僕に、彼女が何かを語りかけた。残念なことに、もう僕の耳は音を拾うという重要な仕事を放棄してしまっていたので、声は気泡となり、きらきらと輝いて消えた。
今思えば彼女は、僕を天国に運ぶ天使だったのかもしれない。僕は薄れてゆく意識の中で、ぼんやりとそう考えた。
………だが、彼女の妖しげな美しさは、悪魔に近いかもしれないとも思った。
僕は、地獄行きなのだろうか。痛いことをされるのだろうか………。そう思うと、段々と気分が憂鬱になってきた(死ぬ間際に、憂鬱も何もないだろうけれど)。

