溢れ出る赤いモノは、他人の心臓から送り出されたもの。それを眺めながら勇次は、ポツポツと口を開く。
駆けていく言霊達は皆すぐに崩れ、力が消え去ろうとしている事を知らせていた。


「…解ってた。

慎が、殺した言霊師の心臓を自分の心臓と交換したんだ、って。

だから、認めたくなくて、身体中が気持ち悪くて、何度も一人で胸を掻きむしったよ。あんた等に、会う前だけど。

……解って、いたんだよな。

心臓を握られている限り、言霊遣いは彼に逆らえないし逃げられない。
それから、
決してあいつに危害を加えられない事も。

全部、解ってた。

なのに最凶の言霊をぶつけて、挙句それを跳ね返されて死ぬなんて…馬鹿だよ。
でもそんなのは、もう、どうでも良いんだ。

やっと会えた仲間に会えなくなる事だけが、ただ悲しくて

…悔しいよ。」