弾けた音は一瞬で、その直後には、強い念と共に生まれた『呪』という言霊など初めから存在しなかったかのような静寂。

何も変わらない
…はずはなかった。確かに、言霊は慎に向かって翔んで、ぶつかって、弾けて。

だが今、呪をその身に受け、それによって死ぬ者の証として血を吐いたのは、勇次だった。

彼の口元を滴り落ちる血以外は、変わらない。何も。


「…ハハ、最期・なのに、カッコ悪…」


「勇次―――ッ!!!」
「ぃやぁあああ!!!」


次々と、生暖かいモノが溢れるのを止められない。身体を抱き起こした氷理に向かって何か喋ろうと口を開いた拍子に、ゴプリとさらに大量の血を吐いた。


「おま…何やってんだよ!?喋るな、バカ!」
「勇次!死なないでよ!?」